Trans Gran Canariaとは?
スペイン、カナリア諸島にあるグランカナリア島を舞台に開催されるトレイルランニング大会。
常夏の島でリゾート地として栄えています。
レースはClassic 126km、Advanced 62km、Marathon 43km、Starter 26km、Promo 15km、Youth 15km、Family Trans 15km、VKの8種目が開催される、春のビッグレースです。
Classic、Advanced、Marathonはこの島のシンボルでもある「Roque Nublo」という象徴的な岩を通過する魅力的なコースです。
また、Advanced、Marathonは山の中腹からスタートしほぼ海抜0mがゴールという下り基調のコースのため、かなり完走率も高いです。
出場の目的
昨年、スカイランニング世界選手権(42km)やOCC(55km)といった距離に対して身構えてしまう自分がいた(調子が悪かったのも影響していただろうが)ので、しばらく離れていたウルトラディスタンスを経験することで距離や時間に対する抵抗をなくそうという目的でエントリーしました。
また、例年世界のトップアスリートも多く出場するので、今後ウルトラにシフトしていくことを考えたときにどういったペースでレースを進めていくのか体験したいという思いもありました。
レースに向けて
Izu Trail Journey優勝直後、疲れ知らずかというくらい調子がよく、調子に乗って負荷をかけすぎて怪我するのも心配だったので意図的に体を休ませ、1月にしっかり走り込もうと思っていました。
しかし1月に引いた風邪が長引き(幸いCovid-19ではなかったが…)、2月も膝に痛みを感じていたりと思うように練習が積めませんでした。
なので今回のレースは序盤は先頭のペース感を体感し、しんどくなってきてから粘ってなんとか完走をというプランでした。
レース序盤
この日の天気予報は雨。前日のメールで必携品にレインパンツが追加されました。
23時、スタートは島の北側にあるラス・パルマスという街のビーチから。このときは生温い風が吹くだけでまだ雨は降っていませんでしたり
スタートして1kmほど砂浜を走ります。
まだトレイルに入る前、3kmあたりの傾斜10%ほどのロードの登り。ここでPau Capell選手(UTMB2019優勝)やPablo Villa選手(TDS2019優勝)といった選手がストックを使い始めました。ロードのこのくらいの傾斜から使うのかと衝撃を受けました。
19.1kmのエイドまではトレイルとロードを頻繁に繰り返しながら、比較的フラットなコース。
雨はパラパラと降ったりやんだり。
このエイドを出てようやく本格的なトレイルへ。
早速急な斜面が現れるも先頭集団にいた僕とHayden Hawks選手(CCC2017優勝)はポールを持っておらず、ズルズル滑るだけで一向に登れず…
雑草にしがみつきながらなんとか登り切るも先頭集団(4人)から随分離されました。
31.1kmのエイドで前を行く選手が私的サポートを受けてる間に追いつき再び先頭集団へ。
(この大会は全てのエイドで私的サポートOK、僕はサポートなしなので84.8km地点のエイドにデポバッグを預けておくのみ)
しかしズルズルの急登で力み過ぎたせいか、内転筋にキツさを感じ、攣らないよう意図的にペースダウン。
この時点でも雨は降ったりやんだり。スタート時と比べれば標高も少し高くなり気温も低くなりましたが、動けていれば寒さを感じないくらい。ただそれまでの生暖かさで汗を結構かいており、ペースも落としたので汗冷えしないようこのあたりでレインジャケットを着ました。
異変
最初に持っていたドリンク1.5Lを飲み干し、42.8kmのエイドで補給。ここから暴風に。雨量はそこまで多くありませんでしたが、横からすごい勢いで雨粒が叩きつけられます。
52.8kmのエイドを過ぎてから脱水のような症状が。
日本の冬から気温20度の世界に来て、前半の水分補給が足りていなかったのか…
一気にペースも落ち、風も相当強く寒かったので(体感5℃くらい)レインパンツも履いて弱々しく進んでいく。
なんとか67.2kmのエイドに到着。ドリンクをソフトフラスクに補給。だいぶ疲弊しており、体も冷えていたので風の当たらないエイドで座って温かいものを飲んで一休みしようと腰を下ろす。休んでいる間に体が震えだす。サバイバルブランケットを羽織りホットドリンクを何杯も飲むも震えは一向に止まる気配がない。
進む意思はあり、震えること30分。震えは止まらないし次のエイドにたどり着ける自信がなくここでリタイア。
年に数日あるかどうかの悪天候
ホテルに戻りシャワーで温まったのち、島の南側の街、マスパロマスにあるゴール会場へ。
ゴール会場は雲ひとつない快晴でむしろ暑い。山を挟むとこうも天気が違うのかというくらい極端すぎるほどの変わりよう。
後日聞いた話ではオフィシャルカメラマンいわくここまでの悪天候は年に数日あるかどうかとのこと。とはいえClassic 126kmの完走率は今年は62.7%と、過去2大会分も計算しましたがほぼ例年通りでした。
優勝はPablo Villa選手、2位はPau Capell選手、3位はPere Aurell選手。Pauもレース後のSNSで酷い寒さだったと投稿していましたが、それでも力のある選手はこうして結果も出している。まだまだ経験不足ですね。
僕自身これまでいろんなレースに出たり山に行きましたが今回のように寒さで体の震えが止まらないという経験は初めてでした。
結果は残念でしたが、自分の体を知るという意味では良い経験をしました。
考えられること
今回の低体温症になった原因として考えられることは、
①エネルギー補給が足りてなかった
→レース前までの食事。いつものレースほど「狙って」いなかったこともあり疎かだった。
②練習不足
→序盤のペースも決して速くなかった。ITJのほうが相当速かった。もし練習が積めていてそのペースで40km以降も押せていたら風雨に晒されている時間も短くなっただろうし、熱も生成され寒さを感じなかったかもしれない。
③脱水症状
→水分補給がうまくいっていればペースダウンを免れ、しっかり体を動かすことで熱を生成して乗り越えられたかもしれない。
引き続き応援よろしくお願いします!